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SUREFIREの人気の2機種について比較レビューをしてみることにしましょう。この2機種はタクティカルな印象も強いことから非常に人気があります。価格帯も近く、電池選択の好みの問題もあって、悩まれている方が多いかもしれません。

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まずは外観から長さはほとんど同一ですが、フューリーのほうが一回り太い印象です。

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フューリーはがっしりと握ることができる1インチボディ、さらにヘッドやテールキャップも肉厚で太く、指がちょうどかかるため安定感があります。クリップがないのもポイントで、とっさの際にはクリップを邪魔に感じることも多くあります。
ポケットに引っ掛けて持ち運びたいという、ある意味不純な動機を別にすれば、タクティカルなライトはソリッドなボディに限ります。そういう意味で、フューリーは実に好ましいです。


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一方、ディフェンダーはほっそりとしています。また、よくしなるクリップを備えていて、ポーチ等がなくてもポケットに入れて携帯するのに有利です。ただ、このボディは細いです。人によっては細すぎると感じるかもしれません。
またクリップが全域を覆っているため、握りづらさを感じる人もいるかも知れません。そういう意味では、E2DLU-Aディフェンダーのボディは、色気はあるもののタクティカルとしてはやや妥協が多いようにも感じます。
ヘッドやテールにはストライクベゼルをまとっていますが、実際のお巡りさんの判断がグレーなこと、細いボディとの組み合わせがそれほど良いとは思えないことから、実用上はフューリーに劣るかもしれません。


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フラッシュライトは基本的にサイズが大きいほうが性能が高くなり、その代わりに携帯性を損ないます。特にヘッドサイズは集光性=照射距離に強い影響を与えます。基本的には直径の大きなリフレクターを持つほうが照射性能では有利です。

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ちょっとおもしろいのが光学系の違いで、ヘッド直径の小さなディフェンダーのほうが集光性の高い光学系、TIRレンズを備えています。ヘッド直径で有利なフューリーは、なぜかテクスチャードと呼ばれる、集光性を下げる処理が施されているのです。
これはおそらく、SUREFIRE社はフューリーの照射性を十分な照射距離が得られていると判断し、照射距離よりも照射の広さを重要視しているからでしょう。

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実際に照射してみると、フューリーの中心照度は28000カンデラにも及びます。一方、E2DLU-Aは16000cd程度。単純な照度で2倍近い開きがあります。E2DLU-Aディフェンダーは1000ルーメン、フューリー DFTは1500ルーメンという明るさの差を考慮したとしても、これはヘッド直径による覆しがたい差です。
しかし、ディフェンダーの方は特殊なTIRにより、フューリーには劣るものの似たスペックを持つ他社のライトよりは一段高い集光性を備えています。さらに広い左右視界も特徴の一つ。フューリーよりも至近距離の視界が開けています。


室内では照り返しによって実用レベルでの差は感じにくいのですが、照り返しを期待できない屋外ではその差が顕著になります。正面に向けたまま足元を把握できるディフェンダーに対し、フューリーは足元が真っ暗になってしまうのです。
フューリーは複数人での使用を考慮しているため、味方を誤照射しないよう、狭めの配光になっていると思われます。単純な明るさの違いや照射距離の違い以上に、ライトを選ぶ際の基準としてこうした点を考えたほうが良いかと思います。


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ボディサイズを反映して、搭載する充電池にも違いがあります。ディフェンダーはCR123A乾電池(一次電池)を2本使用。フューリーもCR123A電池を使用可能ですが、18650型と呼ばれるより太く大容量のリチウムイオン系充電池を標準装備しています。
その放電力の差と味付けの違いで、持続時間やその経過にも差が出てきます。


フューリーはより大容量の電池を使用しながら、持続時間は1.5時間未満。一方、ディフェンダーは2時間弱。フューリーのほうが短時間で大光量を吐き出す仕様になっているのがわかります。

ディフェンダーには、最近発売されたシュアファイア純正のLFP充電池を使用することもできますが、極端に持続時間が落ちます。また、充電池自体もデリケートで、今回のテストでは基準に達する前に(初期照度の10%)実験を終了しましたが、それでも2本のうち1本が死亡レベルのダメージを受けていました。
気づかずに充電して再装填した場合、次回の使用の際にはディフェンダーは点灯できないでしょう。


ところが、災害時などに点灯時間を稼ぐ必要がある場合については、ディフェンダーのほうが適していると言えます。LOWに切り替えて60時間以上の点灯時間を稼ぐことができるからです。

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E2DLU-AディフェンダーのLOW。LOWとはいえ、十分に暗がりを歩くことができる明るさです。料理や工作など細かい作業はやりにくいものの、最低限の行動自体は可能です。災害的な意味での緊急事態の場合、ディフェンダーに比べるとフューリーは心もとない感じがあります。どれほど明るくても、1時間少々の点灯時間=行動可能時間しか確保できないからです。

強度、照射能力で勝るフューリーのもう一つの弱点はサイズそのものです。ディフェンダーに比べて重くかさばります。現場作業の方なら装備一式に組んでしまえばそれほど気になりませんが、スーツや私服で身につけるのはかなり難しいでしょう。その点ディフェンダーならポケットにクリップで引っ掛けるだけで毎日持ち歩いてもそれほど苦になりません。

フューリー DFT は「職業的タクティカル」に最適と言えるでしょう。持ち歩くにはやや大きなボディサイズながら、そのぶん頑丈なボディを持ち、照射も全体的に上回ります。純正で大容量充電池に対応し、毎日のように使用してもランニングコストを抑えることができます。

一方、E2DLU-A ディフェンダーは、「EDCタクティカル」に最適。持ち歩きが苦にならないスリムなボディの反面、基本的にはCR123A電池での運用が前提。LFP充電池も使用可能ですが信頼性には劣ります。ボディの突起で攻撃的な外観ですが、構造的な強さはフューリーには及びません。一方、HIGHの持続時間が長く、LOWモードを備えていることから防災には最適です。
毎日持ち歩いて、いざというときに使う、タクティカルにも防災にも・・・という感じでしょうか。


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最終的な結論としては、持ち歩くかどうか、タクティカル性能をどこまで求めるか、というのが大きな分岐点になりそうです。性能や電池に制約を受けても、持ち歩きを優先するならばE2DLU-A ディフェンダー。タクティカル性能を最優先にするのであればフューリーDFTに軍配が上がりそうですね。