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普段とは違い自由な感じで、「昔のお気に入り」をご紹介しましょう。

まだNITECOREとJETBEAMが仲良しだった頃、SUREFIREと並ぶ・・・とまでは言いませんが、高性能機種として人気を博していたモデルがありました。

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JETBEAM RRT-0 RAPTER。ちょうどSUREFIREのL1の最終モデル(65ルーメンモデル)、初代E1B バックアップの時代ですね。E1Bが110ルーメンを唄っていた頃、両モデルは250ルーメンを超えるハイスペックが売りでした。そして何より、「無段階リング式調光」が特徴的なモデルです。

RRT-0はサイズ的にはCR123A×1本のモデルとしては大型な部類で、SUREFIREの1セルモデルとほぼ同等。携帯性は若干落ちるかもしれませんが、タクティカルなハンドリングができるギリギリのサイズがあり、操作性には優れているように感じます。ただ、中国系としては若干高価でしたので、それほど爆発的に売れた記録は残っていません。まあ当時、アカリセンターが相対的に高価なショップだった時代でもあります。

ほとんど同一機能のNITECORE IFE1も持っているはずなのですが、どこかに行きました(笑。そのうち部屋のどこかから出てくるのではと思います。
トップ画像は同じようにリング式セレクタを備えたJETBEAM RRTシリーズとNITECORE IFシリーズの機種です。今日のお話はこのリング式調光を備えたモデルについてです。

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リング式兆候は、ネック部分の調光リングを回すことにより、ULTRA LOW〜MAXまでをシームレスに調光できるというもの。当時の中華系のフラッシュライトは、現在の目で見てもやたらややこしい操作をする必要がありましたので、実にストレスの少ない調光方法でした。

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個人的にはこのリング式調光+テールスイッチという組み合わせは非常に気に入っていて、NITECOREのものが2機種、JETBEAMのものが4機種5本残っています。メーカーは異なりますがSUNWAYMANのV10シリーズも少し残っていますね。私自身はコレクション気質はあまりないので、仕事で関わっているとはいえこれほど残っているのは自分自身感心する感じがします。

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これらのコレクションを眺めつつ、思うことが2つあります。一つは、やはりリング式調光の使い勝手のよさは素晴らしいものがあること。SUREFIRE U2、UM2でもそうですが、リング式セレクタは直感的で使いやすく、誰かに貸す場合にも1発で覚えてもらえる操作性です。コストがかかるとはいえ、ライトマニア的には欲しい1本。熟成を重ねてより明るく、より信頼性高く、進化して欲しい操作性のライトです。

現在では、NITECOREのSRTシリーズがギリギリ現行品かな。当店の在庫スペースには限りがあるため、ラインナップとしては落としていますが、メーカー在庫は一部あるようです。やはりスペックの割に高価なことが嫌われているのかもしれません。あと、個人的にはサブLEDいらなかったなあと言う気もします笑


思うことのもう一つは、「やっぱり難しいか」ということ。これには複数の意味がありますが、まずどのメーカーも開発が止まっているように、「そこまでのユーザビリティは必要ない」ということでしょう。いくら便利だと言っても、サイドスイッチで4〜5段の調光ができれば、みんな納得なわけです。リング式(無段階)調光機種は、通常3個のマグネットセンサーと、位置を割り出すための演算用の回路を備えていますので、必然的に価格が上がります。お値段あげてまで懐中電灯にそんな利便性はいらないでしょ、と言われれば確かにその通り。

そのほかの意味は、その複雑性ゆえに高い故障率です。JETBEAMの初代RRTシリーズは高品質で有名で、私自身も不良に当たったことはありません。しかしSYSMAXと別れた後のRRT-0 SEでは調光ができない初期不良を引いています。また、私がいない時期に販売されていたSUNWAYMANに関しても、リング式調光機の不良は多かったと聞いています。私の所有するV10Rは、2本ともチタンモデルですが2本とも点灯しません。初期不良と、1m以下の落下一発で再点灯できなくなりました。

SUREFIRE U2については実は故障を聞いたことがなく、格の違いを感じますね。旧世代RRTとSUREFIRE U2に関してはリング式調光の不安を全く感じません。ただ、グリスの固着により操作が重くなる問題は抱えていて、これはH2Tに依頼することでメンテナンスできますが、もしH2Tがなければと思うとちょっと怖いところです。

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別の側面ですが、NITECORE IFE1、IFE2は、切削を攻めすぎていて笑、折れてしまった例もあるようです。私自身は折損させたことはないのですが、IFE1を長期間使用した結果スイッチが摩耗して動作が不確実になったこと、リテイナーリングを外してスイッチ交換しようと思ったのですが、スイッチガードが歪んでしまい、内部ユニットを抜き出せなくなったために現役落ちしました。余裕のない設計がそういったところに悪影響を及ぼすという教訓ですね。同クラスのRRT-0に関しては、強度面でもう少し余裕がありますので、現在も現役で使用できています。1インチヘッドを生かして他社のディフューザーを装着、、スモークショットの撮影に駆り出されることが多いです。スモークでのビーム撮影では光量設定が難しいため、無段階調光の対応力が遺憾無く発揮できます。

もう一つ別の側面では、登場当時「18650対応」だったIFE2は、最近の18650はほとんど受け入れることができません。これは18650電池の需要が高まり、高容量を求められるようになった結果、18650自体が肥大化しているからです。無理に最新に合わせた結果、拡張性を失うことで製品寿命・実用寿命を縮めてしまうのはなかなか皮肉な結果です。ライト自体は軽量コンパクトですので、16650で使用する分には非常に便利ですけどね。


こういった事情を考慮すると、やっぱ複雑なヤツはダメだなあなんて思って、個人的な趣味がSUREFIRE回帰に進んでしまった面がありますね。SUREFIREは無謀な高スペックに挑みませんし(最近は結構頑張ってますが)、無理な小型軽量化にも興味がないため、強度面での余裕があります。明るく便利そうなものが必ずしも役立つわけではない、スペックに優れるから良いライトというわけではない、スペック表に乗らない良し悪しというものがある。そんな教訓でしょうか。

それでも、リング式調光は魅力的なんですけどね笑。最近のLEDでコンパクトな良さげなモデルが発売されたら、性懲りも無く購入してしまう気はします。

実はこの記事は、SUREFIRE UM2のレビューを書いたことで触発されて書きました。明日か、明後日か。UM2のレビューもお届けしたいと思います。