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■ GENTOS (ジェントス) GF-008RG Gシリーズ 充電式 中型 LEDライト
gf008rg-1

・専用リチウムイオン充電池
・BOOST:540ルーメン、Hi:400ルーメン、Mid:200ルーメン、Eco:50ルーメン
・約φ32.6x長さ179.0mm
・約105g (電池含む)

■ SUREFIRE (シュアファイア) E2DLU-A E2DL ULTRA ウルトラ KE2D-A搭載モデル
e2dlu-1

・CR123A 2本
・Hi:600ルーメン、Low:5ルーメン
・142mm×20.3mm×28.5mm
・約120g (電池含)

本日の対決企画はSUREFIRE E2DL ULTRA 対 GENTOS GF008RG。
ちょっと懐かしい感じがする取り合わせ。昔は時々そうした比較をしていましたが、住み分けがはっきりしてきた昨今、そういう対決は少なくなってきました。
当時、SUREFIRE E2DL 対 GENTOS 閃。さて、当時はどっちが勝ったかな?  

そんな初心に還るわけではないのですが、因縁の対決と言ってもいいでしょう。
スペックを見比べると、明るさが近い以外はかなりスペックが異なります。
GENTOS GF008RGの方が大きく、専用充電池を使用し、モード数が多く、ズーム機能を搭載しています。
そして最大のスペックの開きは「お値段」(笑)。ルーメン数をお値段で割れば、GF008RGの圧勝です。さて、どのような勝負になるでしょうか。

【外観編】
いきなり対照的なのがその外観。
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全長、ヘッド直径、ボディ直径、いずれをとってもGENTOS GF008RGの方が大きくなっています。
この違いはそれなりに使途に影響してくるかと思います。E2DL ULTRAの方は、ギリギリ日常的に携帯できるサイズかな?という気もしますが、GF008RGはかなり辛い。
1回のオペレーションの間装着しているのは問題ないと思いますけどね。
常時携帯したいか、業務中だけでいいのかはフラッシュライト選びに大きな影響があるような気がします。

サイズとともに、デザイン面でも大きな違いが。

E2DL ULTRAは防犯や格闘などのタクティカルな使途を想定しているため、ヘッド・テールに突起を備えた特殊な形状が特徴です。
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これはフラッシュライトを格闘に使わざるを得ない状況下で、有利になるよう考慮された結果。男子心をガッチリとつかむような、ある意味では中二病なかっこいいデザインをしています。
形状だけでなく、質感も他のE2シリーズとは異なります。よりマットなザラザラ感が強い表面処理。意外に細かいSUREFIREのこだわりが感じられるものです。

一方でGGENTOS GF008RGは、滑らかでモダンなデザイン。
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なんとなく予想がつきますが、2016 GOOD DESIGN賞を受賞しています。
シリーズ販売当初は黄金比に基づいたデザインという説明でした。なんとなくわかるような、わからないような。
表面は梨地処理になっておりますが、滑り止めとしての役割はそれほど果たしません。
オーソドックスなチェッカリングの入ったE2DL ULTRAに比べると、近代的なデザインという感覚はするので不思議です。

【光学レンズ】
奇しくも、どちらもレンズ式のフラッシュライトとなりました。

SUREFIRE E2DL ULTRAは、TIRと呼ばれるSUREFIRE得意のレンズ。固定式ですが高い集光性が特徴です。
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一方、GENTOS GF008RGはLEDLENSERによく似た二重のレンズになっています。これはワイド側では中心部のレンズを使用し、ズーム側では両方のレンズを使用します。ズーム側ではほぼ全ての光束を前方へ集めますので、強い集光性が期待できることになります。
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ハンディライトの集光性は、搭載しているLEDとリフレクターのサイズによってかなり左右されます。
両メーカーの採用LEDは、メーカー公式のアナウンスがありません。外観や噂、H2Tからのフィードバックでしか判断できませんが、ほぼ同等のLEDを載せています。
となると、口径の大きなGF008RGの方が有利ということになります。
さて、実際の照射はどうなるか。

【照射編】
照射では、参考として、NITECORE MH10を参加したいと思います。
25.4mm直径、XM-L2を搭載し1000ルーメン。操作が比較的簡単な優良機です。少し前に大きく流行した仕様なので、同等品をお持ちの方は多いかと思います。ご参考になれば。

照射画像
(画像クリックで拡大)

GENTOS GF008RGはズーム機能を搭載していますので、ワイド&スポットのズーム操作が可能。状況に応じて「使い分けられる」というのが強みです。
一方で、SUREFIRE E2DL ULTRAは、強いスポットを持ちつつも、GF008RGよりも濃い周辺光も同時に持っています。また、本来の目的がタクティカルを強く意識しているので、可動部品を極力減らしたいという意図もあるかと。結果的に、汎用性を失わない範囲で強い集光を目指していることがうかがわれます。
NITECORE MH10は、携帯性を重視し、タクティカル性は最低限。テールスイッチも持っていません。配光は比較的ゆるい集光性で、手元から奥まで均一に近い照射になっています。
E2DL ULTRA、MH10に関しては「使い分ける必要がない」ことをコンセプトとしていると言えそうです。

スポット状態のGF008RGとE2DL ULTRAを比較すると、E2DL ULTRAの集光性の方が高いことがわかります。1割ほどの出力の差を考慮しても、E2DL ULTRAの優位は覆りません。
実際に、旧タイプのE2DL ULTRA(500ルーメン)と比較した場合も、中心照度ではE2DLが勝ります。

照射画像2 2

その代わり、固定式レンズのE2DL ULTRAは近距離照射を苦手とします。警察官がID等を確認するために使う、とされているLOWモード5ルーメンは、一般的なLOWとしてはかなり暗め。照射範囲も狭く、本当にIDカードの面積程度の確認くらいにしか使えないかもしれません。
その点、GF008RGであれば、LOWの出力にも余裕があり、ワイド側に焦点を合わせれば広く均一に照らすことができます。ちょっと広めの地図の確認くらいはラクラク。
普段使いならGENTOS GF008RGに軍配が上がりそう。

GF008RGは、インナーフォーカス式を採用しています。ズーム動作(ヘッドをひねる)をしても全長が変化せず、内部部品が動いてズームが働きます。
回転のタッチも適度な重さと滑らかさがあり、悪くありません。従来のズーム機種に比べると非常に好感触。

【モード&操作編】
照射の違いとともに、操作系も大きく異なります。
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SUREFIRE E2DL ULTRAは、テールスイッチをクリックすると必ずHIGHで点灯。さらに、一旦消灯して再度点灯するごとに、→LOW→HIGH→LOW→HIGHI→と繰り返し変化します。

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一方、GENTOS GF008RGの場合は、テールスイッチのクリックごとに HIGH→MED→LOW→消灯の順に変化します。例えばMEDで使った後、すぐに消灯させることはできず、必ずLOWを経由する必要があります。
タクティカルに使えないじゃん!と思うかもしれませんが、実は奥の手があります。
それは、LOW、MED、HIGHの3モードの他に「スイッチを押している間だげターボモード」を搭載していること。LOWモードで使用中でも、必要があれば一瞬でTURBOを搾り出すことができます。
TURBOは数秒以内に終了すると次のモードに移行してしまいますが、数秒以上持続して使用すれば、指を離した時には元のモードに戻ります。ちょっとややこしいのと、タイミングを覚える必要がありますけどね。慣れればそれなりに使いやすい仕様です。

各モードの明るさにも大きな違いがあります。
モードSUREFIRE
E2DL ULTRA
GENTOS
GF008RG
TURBO --- 540 lm
HIGH600 lm400 lm
MED---200 lm
LOW5 lm50 lm


尖ったコンセプトのSUREFIRE E2DL ULTRAは、汎用性を重視していません。高出力のHIGHモードを誇る一方、LOWモードは5ルーメン。先述の通り小さなもの確認や、本当に緊急時にかろうじて歩ける程度の明るさに限定しています。
一方で、GF008RGはバランスよくモードを持っています。LOW 50ルーメンは歩行に十分。均一に照射できるズームレンズの特徴もあり、手元足元から活躍できます。
かっこよさのイメージやブランドバリューで選ぶと、こうして用途とのミスマッチが発生します。
SUREFIREを汎用的にEDCしたい場合、G2X MVなどのパーソナルクラスのライトを選ぶのが賢明です。6PX系、G2X系のLOW 15ルーメンは「使える暗さ」です。

【モード&操作編】
ライトを比較する時に大事なことの一つが、運用の問題。
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SUREFIRE E2DL ULTRAはCR123A電池を2本使用します。基本的にはランニングコストの高い機体です。
Jetbeam.jpのLFP16340やIMR16340を使用する方法もありますが、もともと高価なライトにさらに買い足すのは抵抗がある方も多いかもしれません。
また、一人で使っている場合にはほとんど問題になりませんが、多人数で使用するには向きません。使用済み電池や規格違いの電池を混入して使用してしまい、大量の不良電池を生み出してしまったお客様もいらっしゃいます。
「どうしてもこのライトじゃなきゃダメ」
という特別の事情があれば別ですが、あまり詳しくない方々が充電池を使用する場合には、18650電池など1本タイプのライトの方が運用が簡単で確実です。
特別の事情がある場合は、高度な管理をしていただくか、いっそのこと充電電池でないものをご使用ください。業務の支障は軽減できるかと思います。

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その点、GF008RGは至れり尽くせり。
充電池はもちろん、充電器も付属します。ドック式の充電器で、ライトから電池を出し入れする必要なく充電可能。
E2DL ULTRAとどちらが業務に向くかと言われれば、間違いなくGF008RGということになります。
ちょっと接点が狭いので少しドックに装填しにくいですけどね。別パーツのガードが左右からがっちりホールドしてくれるので、一旦充電が始まれば途中で外れることはなさそうです。

【まとめ】
SUREFIRE E2DL ULTRAは、外観人気の高いライトです。さすがのイケメンといったところ。
しかし、尖った性能はシチェーションを選びます。
スピードや強烈さを要求されるタクティカルなシチュエーションでは有利ですが、日常での細やかな対応は下手。

一方、GENTOS GF008RGは逆の立ち位置。モメンタリなターボモードを備えてはいるものの、基本は日常生活や業務での使用が主眼と思われます。
十分にパワーのあるLOW、タッチの良いズーム機構、シンプルな外観や充電機能など、利便性に重きを置いたライトです。

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ほぼ4倍の違いがあるお値段も含めて、どちらがいいか?というのは個人の価値観に大きく委ねられる対決だとは思います。専門色が強いE2DL ULTRA。汎用性の高いGF008RG。お好みはどちらでしょうか?!


■ GENTOS (ジェントス) GF-008RG Gシリーズ 充電式 中型 LEDライト
gf008rg-1

・専用リチウムイオン充電池
・BOOST:540ルーメン、Hi:400ルーメン、Mid:200ルーメン、Eco:50ルーメン
・約φ32.6x長さ179.0mm
・約105g (電池含む)

■ SUREFIRE (シュアファイア) E2DLU-A E2DL ULTRA ウルトラ KE2D-A搭載モデル
e2dlu-1

・CR123A 2本
・Hi:600ルーメン、Low:5ルーメン
・142mm×20.3mm×28.5mm
・約120g (電池含)