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GENTOS (ジェントス) GH-003RG Gシリーズ 充電式 LEDヘッドライト
LEDLENSER (レッドレンザー) H8R 500853 18650充電池使用 充電式 LEDヘッドランプ

本日の対決はLEDLENSER H8RとGENTOS GH-003RG。
いずれも500ルーメンクラスの実用的なヘッドライトです。リチウムイオンバッテリーを専用充電池として、ハイパワー&長時間の照射を実現、人気の高いズーム機構を搭載しているなど、クラスが近いアイテムです。
いずれも工事関係者・法人などに人気の高いブランドですので、今回は整備・工事関係の視点で見ていきたいと思います。

やはり今回も、来週水曜日まで特価販売です!

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GENTOS GH-003RG 弊社通常販売価格:9,477円(税込)
明るさ:Hi:500ルーメン、Mid:260ルーメン、Eco:80ルーメン
照射時間:Hi:12時間、Mid:25時間、Eco:55時間
サイズ(ヘッド部):40.4x89.6x42.2mm
最大照射距離: 約60m
保護等級:IP66
重量:約295 (電池含む)

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LED LENSER H8R 弊社通常販売価格:8,424円(税込)
明るさ:BOOST:600ルーメン、POWER:200ルーメン、Low:10ルーメン
照射時間:BOOST:10時間、POWER:15時間、Low:120時間(※1ルーメンに落ちるまで)
サイズ(ヘッド部):W69×H37×44mm
最大照射距離: 約150m
防水:IP-X4
重量: 約158g (電池含)

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いずれもデザインには違いがあるものの、サイズ感など全体的なプロポーションは似ています。正直なところ、デザイン面ではLEDLENSERの方がオシャレ。建築土木、整備などの業界では、以前よりも電池が別ボディに収納されているタイプの人気が上がってきたように感じます。これはおそらく、夜間の工事ではヘッドランプを常時点灯することがコンプライアンスとして浸透してきたことと関連があります。以前のような必要なときに点灯するだけではないため、大容量バッテリーが求められるようになったせいでしょう。

【レンズ関連】
LEDLENSER H8R、GENTOS GH-003RG共に、レンズ式の光学系を備えています。そして、一般ユーザーの人気が高いズーム機能も搭載。どちらもベゼル部分を回転させるとレンズがせり上がり、集光性が高まります。しかし、レンズの仕様というか、結果としての照射は大きな違いが現れます。

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GENTOSは基本構造がシンプルな凸レンズです。通常はレンズの焦点距離にLEDを配置した状態がもっともスポットな状態、ワイドにするときにはLEDは焦点距離よりも内側に入ります。
しかし、GH-003RGは、スポットのポイントもワイドのポイントも焦点距離よりも内側にあり、完全スポットにはなりません。もしくは、使用LEDの発光サイズに比べてレンズが小さいせいで、像を集光しきれていないかと思います。
01_GH-003RG-HIGH-WIDE 04_GH-003RG-HIGH-SPOT
02_GH-003RG-MED-WIDE 05_GH-003RG-MED-SPOT
03_GH-003RG-LOW-WIDE 06_GH-003RG-LOW-SPOT
結果としてワイド〜セミワイドといった感じのフォーカス調整になっていて、肉眼ではそれほど大きな違いには感じられません。浅いリフ式やTIRであれば、もっと広く光を回しつつ、同時に中心を見やすく照らすタイプもあるため、あえてこの微妙な商店調整に意味があるかはわかりません。

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LED LENSERの方は、アドバンスフォーカスシステムによる複合レンズです。LEDからの光の放射を全て制御するレンズになるため、TIRレンズの一種になります。
LEDの光の中央部は前面レンズ、外側部分はリフレクターでの反射(正確にはレンズ素材境界面での内部反射)で集光されます。その焦点にLEDがきている状態がスポット。
ワイドではその焦点よりも内側を使い、中央部のレンズのみを使用してワイドに照射します。

07_H8R-HIGH-WIDE 10_H8R-HIGH-SPOT
08_H8R-MED-WIDE 11_H8R-MED-SPOT
09_H8R-LOW-WIDE 12_H8R-LOW-SPOT
その結果、短い操作距離にもかかわらず、劇的かつスムーズな焦点調整が可能。単純な凸レンズタイプに比べれば、一枚も二枚も上手のレンズです。

上記写真のように、H8Rは強力なスポットが可能。ただ、ヘッドライトにその機能が必要か?と言われれば、微妙なところ。一般的には10m以上離れて照射することは少ないかと思います。数メートル照射できれば十分、それ以上離れると今度は人間の目が追いつきません。
また話を工事現場に絞った場合、それほど強力な集光が求められているわけではありません。
そのあたりをどう判断するかは難しいところですし好みにもよります。
しかしLEDLENSERのアドバンスフォーカスシステムは優れており、さすがはLEDLENSERブランドを代表する技術だと思います。

01_GH-003RG-HIGH-WIDE
07_H8R-HIGH-WIDE
多用されると思われるワイド照射の比較。
いずれも光の広がり方はよく似ています。スペック上は上回るH8Rですが、この程度の差であれば実際の照射では誤差程度の違いしか感じません。


角度

ヘッド部分はズームの他に、縦方向の首振りが可能。H8Rは5段階、GH-003RGが6段階。
どちらも水平〜垂直近くの振り幅があり、実用上は変わらないかと思います。
ただどちらも、強く下向きにした場合はつばありのヘルメットでは盛大にケラレます。必要な角度によっては、ヘルメット側の調整も必要かもしれません。

ヘルメット

【装着について】
ヘッドライトをお探ししているお客様の質問として意外に多いのがヘッドバンドの本数に関する質問。H8Rは左右2本、GH-003RGは頭頂部を通るバンドを足して3本です。頭部に直接装着して使用する場合には、ヘッドライトの自重によるずり落ちが気になるため3本タイプが良いかと思いますが、ヘルメットにつける時に問題になるのは逆。
バンドのテンションで上へとずり上がっていくことがよくあります。そのため、どちらのモデルであっても現場で着用するのであれば、ヘルメットクリップが必要になります。
比較的幅広いヘルメット形状にフィットするヘルメットクリップは少ないため、当店ではTOYO (トーヨー) ヘッドライト ゴーグルクリップをオススメしています。
こちらのクリップであれば、かなり幅広いヘルメットに装着可能です。

装着時の快適さに影響する要素がもう一つあります、重量と前後バランス。それぞれの重量バランスは下記のようになっています。
機種前部重量後部重量前後比
H8R6011035:65
GH003-RG9023028:72

この結果、H8Rの方が軽量で前後バランスが良好。違和感の少ない装着感になっています。先ほど掲載した照射画像も、GH-003RGはバラストを使用して前後バランスをとっていますが、H8Rはそのまま撮影しています。ただ、GH-003RGも決して不快なるようなものではありません。強いて言えば、というレベルかと思います。普段からヘルメットを使用していたり、LEDランプをすでに搭載している方からの乗り換えであれば気にならないと思います。

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【電池とモードについて】
H8RとGH-003RGの重量比は、純粋にバッテリーの容量が原因です。H8Rのバッテリーが3400mAhに対して、5600mAh。およそ1.6倍の開きがありますが、そのぶん長く照射することができます。
重量が許す限り、より大容量の電池を積みたいのが人情というものです。そういった意味では、GH-003RGの大容量電池には価値があります。

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また、GH-003RGは予備で単三電池が使用できます。容量の差・電池特性の違いから、明るく点灯できる時間は半分以下になるかと思いますが、いざという時にはコンビニに駆け込めばなんとかなるのは強い現場の味方。
一方でH8Rの方は汎用18650電池を使えるため(使えないものもあるかと思います)、すでに他のライトをお持ちであれば共用で管理でき便利です。
しかし、遠い自宅や事務所に置いて来てしまったら・・・という不安は、GH-003RGでは軽減されます。

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ところが充電ケーブルに関しては、H8Rの方は汎用のマイクロUSBケーブルが使用できますが、GH-003RGは専用コネクタになっています。これに関しては、若干GENTOSが見誤ったかなという気もします。
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様々な場所で充電する可能性を考えると、やはり汎用のケーブルの方が便利かと思います。充電中はGENTOSのロゴが赤に、満充電後は緑に、小憎らしく輝きますが・・・。


フラッシュライトやヘッドライトを選ぶ場合、MAXの明るさを優先的に表示することが多いのですが、実際には自分の求める明るさに近いLOW/MEDモードの存在も重要です。
機種HIGHMEDLOW
H8R600lm200lm10lm
GH003-RG500lm260lm80lm

MAXの明るさではH8Rが上回っていますが、どちらの機種も現場で最大光量を常用することはないかと思います。モードの設定から、メーカーとしては、200 / 260ルーメンを常用してね、という趣旨に見えます。
200ルーメンクラスの明るさは、自分独りで使用するぶんにはいいのですが、複数の人が行き交うような場所では幻惑してしまいます。
手元足元の作業に十分な70〜100ルーメン、あるいは「つけていますよ」と主張できる10〜30ルーメンくらいの使い勝手が良いかと。そういう視点で見れば、GH-003RGのEcoモードは前者、H8RのLowモードは後者に該当する設定。
この違いは現場ではかなり大きな用途の違いかと思います。

どちらのモデルも、作業に集中できる200ルーメンクラスの光を数時間以上投射できます。
また、500/600ルーメンのHIGHモードをもち、10メートル離れた橋桁や天井などの工程写真を撮るにも十分な明るさがあります。HIGHモード、MIDモードはどちらも満足できるものかと思います。

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もう一つ。地味ながら重要な要素がバッテリーボックスにあります。どちらのライトもレッドインジケーターを備えています。
クレーンやユンボを使用する現場では、インジケーターの装着が求められる場合があり、両機種ともにそれに対応しています。

インジケーター

しかし、H8Rは常時点灯オンリーで、消灯に対応していません。
機種赤色点灯赤色点滅消灯
H8R××
GH003-RG

普通の現場では問題になりませんが、唯一鉄道関係の夜間工事では忌避されます。
鉄道工事は列車見張員をつけ、万一資材の崩れや人的な危険がある場合は赤色灯で列車に知らせます。そのため列車の運転士は、線路内で赤い光を目にすると停車します。
そういったルールがあるため、赤色灯を消すことができないH8Rは鉄道の現場には向きません。


【まとめ】
スペック表が正しければ、防水性能も基本的にはGH-003RGの方が優れています。
機種等級概要
H8RIPX4粉塵に対する記述なし・あらゆる方向からの飛沫による有害な影響がない
GH003-RGIP66粉塵の侵入が完全に防護・あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない

IP保護等級は防水の種類を示し数字が大きいほど良いわけではありませんが、IPX4とIPX6であれば、確実にIPX6の方が上。
突然のゲリラ豪雨に見舞われた場合、H8Rは避難する必要がありますが、GH-003RGは大丈夫。さらに粉塵にも対応してIP66なので、防水・防塵性能であればGH-003RG、といって良いかと思います。ただしH8RのIPX4も、一般的な雨程度であれば問題ありませんし、防水と防塵は処理の方法が類似しているため、表記がないだけである程度の防塵性能もあるかとは思います。

全体として、ライトの性能として優れているのはH8R。しかし、現場用のライトとして優れているのはGH-003RGかなという感じです。
弱点は電源ケーブルですが、それは単三電池でバックアップできる利便性である程度軽減できるかと思います。

一方で、H8Rは比較的繊細ですが、軽く、十分なLOWモードを備え、非常に素晴らしいフォーカスシステムを備えています。
どちらかと言えば、屋内などの保守点検に向いています。
スペックに現れない部分ですが、LOW・MEDモードでの調光周波数がGH-003RGよりも高く、目が疲れにくい特徴もあります。

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どちらを選んでも、非常に良いライトであるのは間違いません。前回に引き続き、一方的には決められない展開となりました。
やはり、スペック通りなら頑丈さ・現場への適合性はGENTOSが高いと思います。
そして精緻でデザイン性が高く、何より魅力的なフォーカスシステムなどではLEDLENSERに軍配が上がります。こうしてみると、両者とも、ブランドイメージをしっかりと引き継いでいますね。
お互いに意識し合うメーカー同士、甲乙つけがたい結果だと思います。これは当店が両社に気を使っているわけではなく、それぞれの味付けの違いが最大のポイント。

例によって本日より来週水曜20日正午までセールいたします。どうぞこの機会をお見逃し無く!

GENTOS (ジェントス) GH-003RG Gシリーズ 充電式 LEDヘッドライト
LEDLENSER (レッドレンザー) H8R 500853 18650充電池使用 充電式 LEDヘッドランプ