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北海道犬ぞりツアーの続き。 今回が最終日となります。
昨日寝たのが日付をまわったころ。普段であれば起きているかも知れない時間帯ですが、さすがにこの日は眠い。全員が寝に入るのを確認して薪ストーブの空気窓を限りなく閉じて省エネモードにして就寝。あれだけ暖かかった室内も火が落ちると急激に寒くなります。もちろん、使っているシュラフ(寝袋)は氷点下でも快適に使用出来るものですが、朝方のゲルの中の気温は恐らく0°くらいだったと思います。ヒンヤリとした空気の朝、私は激しい尿意に見舞われ、仕方なく起きました。用を足して小屋に戻ると既に松原さんも起きてきて朝食の準備をしておりました。この日の朝の外気温はマイナス20°程度だったそうです。

朝食の良い香りが小屋の中を満たし始めると他の人たちもそろそろ起き始めました。

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犬ぞりツアーをここトナシベツ渓谷で行っているのがインディアンカヌークラフトでもあるアウトライダー代表の松原さん。彼が使用するヘッドライトは北欧スウェーデンのブランドSILVAのXトレイル。この犬ぞりツアーではヘッドライトは欠かせないアイテム。ベースキャンプとなる小屋にはガスランタンはありますが四六時中付いている訳ではありません。トイレに行くのも、ザックの中身を確認するにも昼夜問わず灯が必要となります。もちろん、犬ぞりに乗ってのライドや餌やりも日が暮れてからになりますのでヘッドライトは必ず携帯する必要があります。Xトレイルは明るさはもちろんのことですが、無段階に角度を調整できるヘッドや大きめのスイッチなどユーザービリティに優れているところ、またバッテリーケースが別体式で防寒着の中に入れられることから電池のスペックを落とすことなく使用できるところが気に入っているそうです。特に大きめのスイッチは防寒グローブを使用すると良く分かるのですが、実によく考えられております。防寒のウレタングローブはゴワゴワして細かな作業は出来ません。この分厚いグローブをはめたままスイッチ操作が出来るライトは他にあまりありません。

二日目の午前中はスノーシューやスキーシューでの自由時間。ふかふかのパウダースノーの上を歩くのは気持ちの良いモノですが、思った以上に疲れるものでした。誰にも汚されてない雪の上にダイブしたり、軽く雪崩に巻き込まれてみたりと楽しい午前中でした。腹ごしらえをしたら午後から再びライド。

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この日は180°の旋回があるやや難易度のあるコース。しかも最初は昨日上ってきた道を一旦下るのでスピードが出ること。リードのテンションに気を着けながら下りますが、スリリングで楽しかったですね。コーナーでは軸足でブレーキをかけながらドリフトさせるように滑ると最高に気持ちいい。何よりこの日の犬たちは最高に調子が良かったのです。やんちゃなルーキー ラックも真面目に走ってましたので、昨日以上に快適なライドが楽しめました。

正直、ツアー初日の出発時は自分のチームの犬の顔さえ見分けが付きませんでした。しかし一日でも犬たちと一緒にいればその性格を理解することができます。せっかくなので彼らのことも少し紹介しておきます。

私のチームリーダー犬の「ガス」は実に冷静沈着で優秀、蝦夷鹿を見つけた時はさすがに興奮してましたが、終始クールにチームを引っ張っていました。ただ、昨年も参加したリピーターの人の話によるとその時は「とんでもないやんちゃっぷり」だったらしいです。半狂乱といってもおかしくないくらい手に負えない様子だったとのこと。私にはにわかには信じられない話でしたが、わずか一年で随分と成長したものです。

リーダーの隣で同じく冷静に対処してくれるのがサブリーダーのダン。7匹の子犬を産んだ肝っ玉母ちゃんです。ガス以上に落ち着いた存在。その落ち着きっぷりは恐らく33匹の中でもおそらく最強。ハーネスを着ける時も一切吠えませんし、ハーネスを着けてもまた寝ようとしますし、帰ってくるとハーネスを着けたまま寝ようとする始末。基本すごくビジネスライクですがライドの時は頼りになる存在でした。

後方を押さえるベテラン セナ。結構な歳なのですが、未だ現役です。どんなにルーキーから幅寄せを喰らっても動じることなくモクモクと走り続けます。鋭い顔つきですが、なかなか人懐っこいヤツです。

今期デビューのルーキー ラック。最初の組みわけの時は別のチームの子でしたが、出発直前に自分のチームに組み入れられました。とにかく元気なのは良いのですが、言うことはあまり聞いてくれません(笑)。出来ない子ほど可愛いと言うのは事実で、ちゃんと走ってくれた時は妙に感動してしまいました。

こんな感じで二日目も楽しいライドが出来ました。帰る間際になってチラチラと雪が降ってきました。これがなかなか寒いこと。流石に口元までフリースで覆いませんと顔が痛くて仕方ありませんでした。

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今回は試しにこんなこともしてみました。GBT ACE3SUREFIRE G2X-A-BKを犬ぞりにマウント。自転車のライトと同じ要領かな?松原さんの許可を得て試してみました。ヘッドライトで明るいモノがあれば必要無さそうなのですが、松原さんの話では「ナイトライド」もプランとしてあるそうです。今回はありませんでしたが、次回は是非挑戦してみたいのでそれも兼ねてライトが付くか試してみた訳です。結果から言うと大変良好でした。自転車ほど衝撃もなくブラケットがブレることは無かったです。G2X-Aを選んだのはスイッチのON/OFFが楽だから。それとボディが樹脂製なので雪が付着し難かったからです。金属には本当によく雪が付着します。滑り止めのローレットなど刻んでいる場合は目詰まりするほど雪が付くので困ります。氷点下の世界で素手で雪の付いた金属製のボディを握ろうものなら大変なことになりますので注意が必要です。

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犬たちに上げる最後のご飯タイム。今日もたくさん走ってくれた犬たちに感謝。
松原さんにSILVA Xトレイルの照射をしてもらったところを撮らせてもらいまいたが、雪の上ですとなおさら明るく感じるものですね。

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二日目の晩は鹿肉のステーキ!やっぱりうまい、鳥肌ものです。まったく臭みがなく、油身がほとんど無いのにとても甘く柔らかいのが特徴です。他にもサラダやチーズと生ハムをのせたバケットなど盛りだくさん。ウマい料理を食べながらすすむお酒。この夜が過ぎていくのが惜しいと思いながら話は夜遅くまで弾むのでした。

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最終日の朝の気温はマイナス22° 分かっていても松原さんに「今朝は22°です」と言われるとおかしな気分になる。氷点下が通常のトナシベツでは気温の前にマイナスを付けない。そのローカルルールに最後まで慣れることなくこの地を離れるのは何だか寂しかった。
何だか食べ物の写真ばかりですが、最終日の朝食です。ポトフとバケット。ポトフに入ったソーセージが秀逸。身体に染みわたる暖かさと優しい味は忘れられない思い出になりそうです。

昼までに帰りの準備をし、出発の午後1時まで各々時間を過ごしておりました。やっぱり犬とのふれあいが一番多かったかな?帰りは下り基調のコースなので行きよりも早く到着してしまった感じがします。森を抜けて平原に出ると犬たちも家が近いことが分かるのか明らかにゆっくりと走り始めた。「もう家はすぐそこ、気楽に行こうぜww」って感じでした。こちらも急いで帰ることも無いので犬たち任せで急かすことなくゆっくりと流れる雪景色を楽しみました。

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あいにくカメラのバッテリーこの時切れました。これが最後の一枚。

ベースに到着したらハーネスを外して犬たちを小屋に繋げます。名残惜しい気持ちを押さえ、帰路に発ちました。ちなみにこのツアーには最終日もお昼が付きました。「鹿肉のボロネーゼ」もう食べてばかりでした(笑)。アウトライダーのベースを発ってその日のうちに羽田に到着。日付が変わる前に自宅に帰って来れました。こんな体験が国内で出来るものなんだなぁ〜と二日間を振り返りながら布団にもぐりこみました。翌日からは溜まっていた仕事に時間を取られ、帰ったのは午前様。プラットホームを通り過ぎる快速電車の突風が身を突き刺す。「22°のトナシベツの方がまだマシだ」と一緒に行ったツレにメールしたら「着ているものが違うからだよ」と冷静に返されました。

まったくその通りだが、ロマンがないな、、、と一人ごちました。

来年も行けるよう今年もお仕事頑張ります。犬ぞりツアーレポートは以上です!皆さんも興味がありましたらお気に入りのライト共に極寒のトナシベツへ行ってみては如何?