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昨日は全国的に寒かったらしく北海道東部の陸別町では、氷点下29度1分を観測したというニュースを見ました。カップラーメンの麺が食品サンプルのように固まっている映像だったように思えます。そんな試される大地 北海道に先週末行ってきました。

今回、私が参加したツアーはインディアンカヌー製作の職人して犬ぞりツアーを主催するアウトライダー 松原さんのツアー。

北海道南富良野にございます占冠(しむかっぷ)駅に到着したのがお昼ちょっと前、一面銀世界の北海道らしい景色が出迎えてくれました。今回のツアーの参加者は自分を含めて6人、うち3人がリピーターという人気のツアーです。挨拶も早々に迎えに来てくれた車に乗って犬たちが待つベースに移動。ここには昨年の10月にも別のツアーでお邪魔したところです。まぁ、その時に今回の犬ぞりツアーにも参加することになったのですが、、、なにせ犬ぞりなんて乗ったこともないですし、どんな感じか想像すらできなかったので実際に雪の上でソリに足をかけるまで現実味がありませんでした。

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およそ2カ月ぶりに会う犬たちは何だか逞しくなっていた。雪の上でとび跳ねたり、丸まって寝ている姿が実に可愛らしい。まず最初にツアー参加者は犬たちにふれあい、その様子を松原さんが見ながらソリを引く犬たちを選抜していきます。現時点で犬たちは33匹いますが、その全員が走れる訳ではありません。犬ぞりとしての訓練を受け、且つ調子がよく、参加者にあった犬だけが走れるのです。松原さんがハーネスを持って現れると犬たちのテンションが一気に上がります。遠吠えしながら跳ねたり、小屋の周りをうろうろしたりと興奮状態。ハーネスを見ただけで「走れる!」と思うようです。ハーネスの取り付けはレクチャーの後、参加者が自ら行います。素直に着けられる子もいれば、テンションMAXで手のかかる子など様々。

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次は人間の訓練。まずは犬を繋がない状態でソリに乗って、ブレーキのかけ方やGOとSTOPの掛け声を習いました。GOは「ハイク」と言いながらソリを押して飛び乗ります。STOPは「ヴォーー」と言いながら足でブレーキをかけます。ただ、いくら訓練されているとは言え相手は生き物。単純に声をかけたからと言ってマッシャー(乗り手)の言うとおりに動いてくれる訳ではありません。それぞれの掛け声も犬たち共に走っていることを意識して掛けなければ意味がないそうです。上り坂の急な時は息を切らすように、軽快に走っている時はマッシャーが楽しんでいることを声で伝えます。そんな感じでお互いの息使いに耳を傾けながら乗るのが犬ぞりだそうです。

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一通り練習が終わり、いよいよ犬をソリに繋いで出発。荷物をソリのキャリアに載せ、人間は後に立って乗ります。今回持ってきましたアイテムの一つがこのペリカンケース1150、携帯やミラーレスカメラなどの電子機器の他に財布やその他貴重品などフォームレスで結構詰め込みました。サイズ的には大きなものではありませんが個人携帯用としては充分なものかな?防水防塵性能に加え、エアバージによる気圧調整で結露を防いでくれます。今回のツアーには絶対に持っていこうと決めてましたが、持って行って正解でした。この安心感は異常、当然携帯もカメラの無事でしたし、どんなに寒くても雪が降っても気にすることなく雪の上に置けるのは実に便利でした。

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「HIKE!!!」掛け声と共に走りだす、10月に見た広大な畑も今は雪原に変わっておりました。野生動物の足跡だけがポツポツと見える他は真っさらな雪しかありません。穏やかな午後の日差しが見えたのはここまで、森の中に入ると一気に暗くなります。目的地は渓谷の中にありますので、ほぼ日陰の中を走る感じ。雪が降っていなければそれほど顔に当たる風は寒くありませんでした。まぁ、興奮していたっていうのもありますけどね(笑)。犬たちは力強く雪上を駆り、前前へと突き進む。その後ろ姿は何とも美しい。私の知っているいわゆる「犬」とは全く異なる生き物でした。

さて、犬ぞりの乗り心地ですが、シーズン前半と言うこともあるかも知れませんが思いのほか雪は柔らかくフカフカした感じ。犬たちのけん引力は驚くほど強いですが、ソリ自体の乗り心地はとてもマイルド。木製のソリはもちろん松原さんの自作。コーナーを曲がるときは曲がりたい方向に加重することで、ソリは適度にしなり素直に曲がってくれます。多少の雪のコブがあっても衝撃を吸収してくれる木製フレームの柔軟さには驚きました。

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日が暮れる前にヘッドライトON。このツアーは防寒着からブーツまですべて借りることが出来ますが、個人装備品としてはヘッドライトはマストアイテム。目的地のキャンプ地「ワイルヘブン」には電気はありません。テントの中にガスランタンはありますが、なにをするにも個人携帯のライトが必須と言う訳です。もちろん、ソリに乗る時もあった方がいいでしょう。前方を照らすだけでなく、後続の位置確認や他のパーティーへ存在をアピールする時など何かと役立ちます。私が持っていったのはお馴染みSUREFIREのSAINT MINIMUS、犬ぞりのスピードは平地であれば、ゆっくり漕ぐ自転車と同じくか、ちょっと早いくらい。時速で言うと14〜20kmくらいかな?ミニマスだけでも充分に前を照らすことが出来ましたが、ヘッドライトで照らすのは遠くではなく、犬たちの挙動を確認するため。近距離からワイドに照らせるものが最適だと思います。寒冷地で強いリチウム電池を使用したミニマスは最後までへたれることなく明るさを維持しておりました。

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目的地の「ワイルドヘブン」に到着したのは午後5時ちょっと過ぎ。まずは犬たちをソリから外してワイヤーに繋ぎます。犬たちの労をねぎらいながら食事の準備。彼らは一日一食のみ。消費したカロリー分だけを摂取することでベストな状態を維持することが出来るそうです。とにかく賑やかな食事の時間。

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犬たちの食事が済み、ようやくテントの中に入ってくるとなかなか疲れていることに気づきました。松原さんは休む暇なく今度は人間の食事の用意をし始めました。ちなみにこのテント、二重構造になっておりまして、単管パイプで組んだ山小屋風のテントの中に立派なゲルが組まれています。遊牧民が使うあのゲルです。中には薪ストーブがあり、煙突が中央から突き出ています。薪ストーブに火を入れれば室内の気温はグンと上がり、下着でも充分なくらい暖かくなります。日の落ちた表は氷点下の極寒の世界ですが、この中はまさに「天国」。食事の待ちきれない人たちはキンキンに冷えたビールを開け始め、今日の出来事を語らい始めました。

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この日の夕食は二種類の鍋。冷えた体に染みわたる、、、。夜はまだまだ長い、ストーブの薪を絶やさぬよう下戸の私が火番をかって出ました。まぁ、薪ストーブに一番慣れているのは自分だと思いましたから(笑)。

ゆらゆらと燃える火の光とガスランタンのチラつきが眠気を誘う。疲れて寝てしまう人もいれば、犬たちの家系図を作ろうと盛り上げ上がる人もいてました。こんな感じで一日目の晩は更けていくのでした。

次回は二日目と最終日!